A. 口腔内には様々な細菌(常在菌)がいます。常在菌の役割は、口の中の細菌のバランスをとり、健康を保つのに役立っています。ところが、何らかの原因によってそのバランスが崩れ、口腔内の一部の菌が多く繁殖すると虫歯や歯周病、誤嚥性肺炎の原因になったりするのです。
A. 虫歯の原因となる細菌は、連鎖球菌や乳酸桿菌(にゅうさんかんきん)、放線菌などです。具体的には、連鎖球菌の中のストレプトコッカス・ミュータンス、ストレプトコッカス・サリバリュース、ストレプトコッカス・サンギュース、ストレプトコッカス・ミリスなどがあります。乳酸桿菌ではラクトバチラスが、放線菌ではアクチノマイセス・ビスコーサスも虫歯を引き起こします。これらの細菌のうちで、虫歯のいちばんの原因で特に重要なのはグラム陽性菌のストレプトコッカス・ミュータンスです。
A. (1)お口の中の虫歯菌が、食べ物の中の砂糖を栄養に、歯の表面にネバネバしたバリア・物質をつくります。(2)そのネバネバした物質の中に虫歯菌や他の細菌が住みつき増殖していきます。これがプラーク(歯垢、バイオフィルム)といわれるものです。(3)プラークの中の虫歯菌は食べ物の中の「糖質」を材料に酸をつくり、しだいに歯のエナメル質を溶かしはじめます。これが虫歯です。「糖質」は砂糖だけでなく米やパンにもたくさん含まれており、普通の食事の中に含まれています。
A. 感染経路については明確になっていません。赤ちゃんの頃には口腔内に存在しませんが、口移し、食べ物に入っている、産道で感染すると言う説などもあります。
A. 口中には様々な細菌が存在します。虫歯菌は酸によって他の細菌を殺したり、テリトリー広げる事で繁殖を続けます。虫歯菌が他の細菌に比べて繁殖力が強い原因は、プラーク(歯垢、バイオフィルム)にあります。虫歯菌は硬い物に付着すると周囲にバリアを形成し、このバリアが薬剤や酸などの侵入を防ぎます。うがい程度では流れませんし、薬用うがい薬でもバリア破壊は難しいといわれています。キッチンシンクやお風呂場のヌルヌルしたもの細菌の塊と同じイメージです。このバリアを破壊する唯一の方法が機械的清掃、つまり歯磨きです。しかし、歯磨きだけでは口腔内の虫歯菌は死にません。歯磨きと共に口腔内に増殖した菌を実際に殺菌して減らことも求められます。
A. なりません。酸を作る菌がいなくなれば、お口の中を酸性状態にならず歯は溶けません(脱灰しません)ので虫歯の進行は止まると考えられます。しかし、現実、完全に原因菌をゼロにすることは不可能と思われます。歯磨きなどの物理的処理で食べかすを除去することが好ましいでしょう。
A. (1)歯を磨いてプラーク(歯垢、バイオフィルム)を歯に付けないようにする、(2)糖分の摂取量を減らす、(3)糖分の摂取回数を減らす、(4)歯質の強化を図る、(5)原因菌を退治する。などがあります。
A. 厚生労働省の調査によると、日本人の70%の人が歯周病にかかっているとのことです。原因となる菌はもともと口腔内にいるわけではなく、外部から感染することが分かりました。近年の研究で、歯周病は全身に影響を及ぼすことが分かり、特に糖尿病とは密接な関係があることも判明しました。さらに歯周病菌が血管内に入ると血栓ができやすくなり、心臓病や脳梗塞のリスクが高くなります。心臓病や脳梗塞になるしくみは、Pジンジバリスなどの歯周病原因菌と考えられているグラム陰性菌は心臓や大動脈、静脈などで生息し、血栓の原因になっている可能性があるとのことです。また歯周病は、メタボリックシンドローム、早産・低体重児出産にも深く影響しています。
A. 原因はさまざまですが、その最たるものは虫歯と同じように細菌です。歯周病は細菌感染症です。口腔内で歯周病細菌の攻撃する力が身体の防御する力より強い時に発症します。
A. 歯周病の原因となる細菌は、歯周ポケット(歯肉溝:しにくこう)内の歯肉縁下のプラーク内にいます。歯肉縁下とは、歯のうちで歯肉縁上よりも下の部分です。具体的には、ポルフィモナス・ジンジバリス、スペロヘータ、プレボテーラ・インターメディア、バクテロイデス・フォーサイサス、アクチノバシラス・アクチノミセテムコミタンスなどが歯周炎を引き起こす細菌として良く知られています。これらは、グラム陰性菌に属します。
A. 第一段階:歯周病菌は出産直後の人間の口腔内には存在しません。生後しばらくして歯が生え始めて離乳食を取るようになると、徐々に感染していきます。最初の感染は親からの「口移し」だと考えられています。乳歯に感染した細菌はやがて永久歯へと矛先を変え、そこに長く居座ることになります。発症に至る最初のステップは、細菌が「歯の表面や歯肉溝に定着する」ことです。
第二段階:歯周病の原因となる細菌は、「歯肉溝」と呼ばれる空気や光の届かないような暗闇を好む傾向にあります。この歯肉溝の中で歯周病原因菌はお互いに協力し合いながら複雑な代謝経路を経てプラーク・歯石を形成し、同時に有害物質を放出します。
第三段階:悪玉菌が放出する有害物質こそが歯ぐきの炎症を引き起こし、歯槽骨を溶解し、口臭を発生するのです。
A. 日本では誤嚥性肺炎による死亡は一日300人で、その96%は65歳以上の高齢者となっています。口腔内には多種多様の細菌が住んでおり、病気や加齢などにより飲み込む機能や咳をする力が弱くなると、口腔の細菌や逆流した胃液が誤って気管に入りやすくなります。その結果、発症するのが誤嚥性肺炎です。寝ている間に発症することも多く、高齢者では命にかかわるケースも少なくない病気です。誤嚥性肺炎予防の2大ポイントは、「口腔の清掃」と「機能回復」です。歯磨きなどにより口の中を清潔にし細菌を減らします。そして、食べたり飲み込んだりする摂食・嚥下機能を回復させることも大切です。口腔の細菌除去と機能回復がケアの両輪となり、誤嚥性肺炎を予防します。
A. 病的な口臭は3種と言われています。(1)虫歯:深く進行してしまった虫歯があると、虫歯菌によって分解されたたんぱく質が口臭を発生させます。(2)歯周病:虫歯と同様に、歯周病菌が歯周ポケット内からの滲出液や、みがき残しなどのたんぱく質を分解し腐敗させます。そのときに発生する「メチルメルカプタン」などの揮発性硫化化合物VSCが強烈な悪臭を放ちます。(3)舌苔(ぜったい):舌べろの表面に蓄積する舌苔も口臭が発生します。
A. 虫歯や歯周病予防に最も効果的なのは歯磨きです。しかし歯を磨くだけでは完全な予防は難しいです。歯磨きで出来ることは、「虫歯・歯周病の原因を除去すること」と「虫歯・歯周病の進行を止めること」の2つです。丁寧な歯磨きが、虫歯や歯周病の発生率を下げてくれます。しかし虫歯・歯周病の発生率は下げられますが、口内に原因菌がいる場合は原因菌を退治しなければ根本治療にはならず、原因菌と食べかすが口内に少しでも存在する限り虫歯や歯周病は進行します。
A. 細菌の塊であるプラーク(歯垢・バイオフィルム)を洗口液のみで完全に除去し、その中の細菌も殺菌することは難しいと考えられます。物理的な歯磨きによる除去と組み合わせることで、歯磨きで磨き残した細菌を殺して、洗い流す効果があります。歯磨きが届かないような場所にも届いてくれ、舌の洗浄にも効果があります。
A. 歯磨きやうがいをすることにより口内の食べかすやプラーク(歯垢・バイオフィルム)が取り除かれる、また清涼感を感じさせるという効果は考えられます。しかし、虫歯・歯周病の原因菌に対する大きな殺菌効果は期待しにくいと考えられます。
A. 外部からのばい菌やウィルスを口腔内において有益な常在菌が有害菌を顕著に制御しているという報告はまだありません。空気と食べ物の中にいる様々な菌が絶えず口と鼻に侵入してきますが、その退治役は唾液やその先の胃酸とされています。健康な人は口腔内の常在菌を殺菌する必要がありませんが、虫歯や歯周病、プラークがたくさんある状態の人の口腔内は、総細菌数が増え、悪い菌が繁殖してバランスを崩した状態といえます。つまり、皮膚に怪我をして悪い菌が感染し、皮膚常在菌が負けて化膿している状況と似ています。
よって、良い菌が多いバランスに戻すために、総細菌数が多く、悪い菌の多くなった口腔内の菌を減らして清潔にすることが必要です。特に口腔内のプラーク内の細菌は、糞便と同等の量の細菌の塊となり、誤嚥性肺炎で命を落とされる方が非常に多い現状です。一時的に細菌が減り清潔になった口腔内は、またすぐに常在菌が広がります。口腔内の細菌をバランス良くコントロールすることが大切です。
A. 一般的な乳酸菌そのものは、虫歯原因菌や歯周病菌を殺す力はありません。虫歯菌に効果のある乳酸菌は、口腔内で虫歯菌より早く繁殖します。従って歯磨きによって口中の虫歯菌が減った状態で、乳酸菌を繁殖させると虫歯菌より先に広い範囲を占拠するので、虫歯菌が繁殖する事を抑えます。乳酸菌は自分が出した酸によって自壊して行きますが、この間に虫歯菌以外の常在菌のテリトリーを増やせれば、それだけ虫歯菌の勢力が減少する事になるのです。一方、乳酸菌から作り出された抗菌ペプチド(たんぱく質)のナイシンAは菌を直接、瞬時に殺す力があります。また乳酸菌ではなく、たんぱく質ですので乳酸はつくらず、口内は虫歯のできやすい酸性状態にはなりません。
A. ネオナイシンは高純度のナイシンAに梅エキスを独自の配合比で組み合わせた製剤です。従来のナイシンAは純度が低く、高塩濃度で溶解性に劣る粉末製品です。ネオナイシンに用いるナイシンAは純度が高く無色透明、塩分フリーで溶解性に優れた液状です。
A. ナイシンAはL.lactisという乳酸菌を発酵させて作ります。この乳酸菌自体は珍しくありませんが、ナイシンAを多く作る菌は少なく、九州大学園元研究室の菌はナイシンAを高生産する菌という点で優れています。またその菌は、遺伝子組み換えをしたものではなく、天然の野生菌となり安全性も高いものです。また梅エキスは梅果実から抽出します。
A. ネオナイシンは、グラム陽性菌である虫歯原因菌・グラム陰性菌であるジンジバリス等の歯周病原因菌への殺菌効果を持ちます。
A. 風邪の原因は細菌です。通常、抗生物質の治療を行います。のどの痛み、肺炎等の原因菌には、ネオナイシンは有効です。一方、インフルエンザ等の原因はウィルスです。ウィルスは細菌とは異なるため抗生物質も効きません。そしてネオナイシンも残念ながら効きません。
A. プラークは壊せません。虫歯菌・歯周病菌が集まりバリアをつくるプラーク(歯垢、バイオフィルム)の除去には歯磨きが大切となります。
A. このたんぱく質と植物エキスのネオナイシンはふつうの食べ物と同じですので、食した場合、胃や腸で速やかに体内酵素でアミノ酸に分解され、ヒトの栄養として利用されます。従いまして、体内での腸内細菌(善玉菌)と接触するときには、分解されていますので、影響はほとんどありません。
A. ナイシンAと梅エキスは、経口毒性はないとされています。
A. このたんぱく質をつくる乳酸菌は、同種の仲間(乳酸菌群)に対して、自分が生きるために(競争に勝つために)、自ら仲間を邪魔するたんぱく質をつくります。ほとんどの菌は、このたんぱく質により殺されるのですが、本人はたんぱく質耐性を持っているため、大丈夫なのです。